日本臨床外科医学会雑誌
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胃癌例に対する免疫化学療法の効果と免疫賦活剤の副作用
三輪 恕昭折田 薫三
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1980 年 41 巻 1 号 p. 40-46

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抄録
胃癌130例に,手術,化学療法に加えて, levamisole (LMS)を150mg/日,連続3日間投与,後11日休薬(3投11休)を1カ月以上継続し, 2年までの生存率と副作用について検討し,以下の結果を得た.
(1) LMSの生存率上昇効果はStage I, IIになく, Stage IIIでは術後経過とともにみられるようになり, 2年後には有意差を示すに至った(p<0.05).しかし, Stage IVでは, 13カ月後を頂点とし(p<0.02), 18カ月後までLMSの効果がみられたが(p<0.05),その後は効果が消失した(p<0.5).手術可能度別にみると, Stage III, IVで治癒切除例においてのみLMSの生存率上昇効果がみられたが(p<0.01),非治癒切除例(p<0.1),非切除例では効果がみられなかった. Stage IVに限り,主腫瘍摘出の有無によりLMSの効果をみたが, LMSは主腫瘍摘出例に有効と思えた. (2) LMSの副作用は投与161例中44例(27.3%)にみられ,消化器症状,中枢神経症状の順に多かった.有副作用例の愁訴数は1.9で,副作用発生時期は投与開始6~12カ月後が最高であった.副作用激しく,投薬中止に至った例は中枢神経症状有するものに多く,全投与例中8.7%,有副作用例中31.8%であった.これら副作用は投薬中止で速やかに消失した.
LMSは腫瘍が完全に摘出された進行胃癌に最も高い生存率上昇効果をもたらし,副作用少なく長期投与が可能であった.
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