日本臨床外科医学会雑誌
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治癒手術をおこないえた異時性三重複癌の1例
畠山 元大平 雅一鬼頭 秀樹金 貞斗加藤 保之久保 敦山下 隆史紙野 建人梅山 馨
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1982 年 43 巻 10 号 p. 1131-1137

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抄録

いずれも治癒切除をおこないえた異時性三重複癌を経験した.
患者は72歳,女性,第一癌,子宮頚癌(non-keratinizing squamous cell carcinoma), 第二癌,胃癌(poorly differentiated adenocarcinoma), 第三癌, S状結腸癌(well differentiated adenocarcinoma).
第一癌と第二癌および第二癌と第三癌の間隔はともに5年以上であり,第一癌の子宮頚癌術後にコバルト照射が,第二癌の胃癌術後に制癌剤療法(3年11カ月間)が行なわれている.
近年の癌の診断,治療の進歩にともない,重複癌の報告は年々増加の傾向にあるが,根治術がなしえた報告はなお少なく,第一癌の根治術後も厳重にfollow upし,重複癌発生の可能性を念頭におき,第二,第三癌を治癒切除可能な時期に発見することが必要である.また三重複癌について若干の文献的考察を加え本邦報告例の集計も行なった.

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