日本臨床外科医学会雑誌
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難治性の腹水貯溜患者に対する腹腔・大静脈シャントの経験
倉田 悟安武 俊輔中原 泰生河野 佳宣江里 健輔毛利 平藤井 康宏
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1982 年 43 巻 3 号 p. 294-298

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抄録
難治性の腹水貯溜患者8例にレビーン腹腔・大静脈シャントチューブの使用を試みた.症例は肝硬変2例,肝癌2例,膀胱癌1例,胃癌+肝硬変1例,結腸癌の肝転移1例および膵癌の肝転移1例であった.肝硬変の2例は著効を示し術後7カ月および1年6カ月健在で腹水の貯溜を認めない.胃癌+肝硬変の1例は著効を示し術後7カ月死亡するまで腹部膨満はなかった.末期癌5例では著効2例,有効1例および無効2例であったが全例術後11日から90日目(平均32日)に死亡した.
本法は難治性の腹水患者に試みるべき方法であり,特に肝硬変患者に有効であった.癌患者は腫瘍細胞の全身撒布の危険性があり今後検討していきたい.
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