日本臨床外科医学会雑誌
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閉鎖孔ヘルニアの治験例および本邦報告例の検討
藤原 敏典善甫 宣哉小林 修新谷 清守田 知明兼行 俊博
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1982 年 43 巻 8 号 p. 979-982

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抄録
最近我々は比較的まれな疾患とされる閉鎖孔ヘルニアを経験したので報告するとともに,本邦報告例を集計し検討を加えた.
本症はやせ形で高齢の婦人に多く,分娩回数の多いものに多発する傾向にあった.イレウス症状により発症するものが殆んどであり, Howship-Romberg徴候は80%に認められた.術前診断率は27%と未だ低値ではあるが,年を追うに従い上昇していた.ヘルニア門の処置としては,結節縫合による閉鎖法が最も多用されていたが,壁側腹膜を結節縫合する場合には再発の危険があるため骨膜と閉鎖膜を縫合することが望ましい.
高齢女性で突然イレウス症状を呈した場合には本症をも念頭に置くベきである.
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© 日本臨床外科学会
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