日本臨床外科医学会雑誌
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非特異的な所見に富んだ十二指腸第4部の平滑筋腫の1切除例
神谷 順一奥川 恭一朗新美 隆男榊原 正典三田 三郎末永 義人中村 達雄秋山 三郎
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1983 年 44 巻 12 号 p. 1458-1462

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抄録
症例は69歳男性,左上腹部の腫瘤を訴えて来院した.腹部エコーで,腫瘤は球形ではないが嚢胞のパターンを示し,また血管造影で血管に乏しいことより,腸間膜嚢腫を強く疑った.しかし, CTでは腫瘤は均一で実質性であった.なお,十二指腸造影で第4部内側に圧排がみられた.
手術所見では,腫瘤は周囲組織,特に上腸間膜動脈との癒着が強く,非常に硬いことが特徴的であった.十二指腸・空腸切除にて腫瘤を摘出した.腫瘤は7×7×6cm,粘膜面には潰瘍はなく,割面は実質性であり,黄白色・結節状であった.組織学的には,腫瘍は固有筋層から発生した平滑筋腫であった.以上より,十二指腸第4部に生じた平滑筋腫と診断した.
消化管の平滑筋腫あるいは平滑筋肉腫は,血管造影上血管に富んでおり,診断は比較的容易と考えられている.しかし本例のように血管に乏しいものもあり,注意を要すると思われた.また,成因は不明であるが,本例では周囲組織との癒着が高度であったことが,印象的であった.
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