抄録
最近の1年3ヵ月間に経験した肝膿瘍6例の超音波断層像の特徴を検討するとともに,肝膿瘍の治療における超音波ガイド下穿刺ドレナージ術の有用性について検討した.肝膿瘍の超音波断層像の特徴としては,腫瘤像の輪郭の不整,低エコー型または混合型を示す内部エコーおよび後方エコーの増強が認められた.治療は,肝膿瘍6例中1例は抗生剤の投与のみで治癒し,残り5例中4例は,抗生剤の投与とともに超音波ガイド下の穿刺ドレナージを施行し,治癒または軽快させることができた.肝膿瘍の治療において,抗生剤の投与と膿瘍のドレナージが基本であるが,超音波ガイド下穿刺ドレナージ術は侵襲が少なく確実なドレナージが可能であり有用な方法と考えられた.しかし,ドレナージ中の合併症を防ぐために,ドレナージ中の注意深い管理が必要である.