日本臨床外科医学会雑誌
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孤立性腸骨動脈瘤の症例
森本 雅巳井之川 孝一杠 英樹加藤 邦隆山岸 喜代文白井 祐二
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1985 年 46 巻 1 号 p. 61-65

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抄録
腸骨動脈瘤が孤立性に認められるのは稀とされ,腹部大動脈瘤と比較すると本症はその1/20以下である.本症の特徴は破裂の危険性が高く,また破裂するとその死亡率が高いことで,その理由は(1) 本症が稀れであるので,骨盤内臓器の1つの疾患として鑑別されない. (2) 骨盤内深部発生例では巨大瘤あるいは破裂例でなければ本症と診断されない. (3) 本症による骨盤内臓器圧迫症が本症によるものと考慮されない.とされている.本邦の本症報告例をみると,破裂性動脈瘤では死亡が約半数に認められ予後不良である.本症は診断され難い動脈瘤の1つとして関心が持たれてよい疾患と考えられる.
われわれは70歳男の左総腸骨動脈瘤および56歳男の両側総腸骨動脈瘤の2例を経験した.いずれも腹部の拍動性腫瘤を触知出来,血管撮影で非破裂性の本症と診断した.手術は人工血管による血行再建術を行い,術後経過は良好であった.
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