日本臨床外科医学会雑誌
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再発性悪性耳下腺腫瘍に対する積極的外科治療の意義
大森 勝寿渡辺 岩雄中條 明夫星野 正美遠藤 清次松本 都八巻 義雄
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1985 年 46 巻 2 号 p. 203-209

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抄録
耳下腺腫瘍は,解剖学的特性から,耳鼻咽喉科と境界領域にあり,一般外科医には,比較的関心の低い疾患である.
我々は,初回手術で悪性耳下腺腫瘍と診断され,その後の治療でも姑息的に経過をみられた結果,左顔面を占めるまでに大きく発育し肺転移をきたした症例に対し,外科的治療を加え軽快せしめた症例を経験したので,その経過を報告し,耳下腺腫瘍の臨床像より再発性悪性耳下腺腫瘍に対する外科治療の意義について考察をおこなった.
患者は, 57歳女性で,左顔面に14×10×7cm, 可動性に乏しい,表面結節状に触れる実質性の腫瘤を有し,左肺野に2ヵ所の転移巣が認められている.
精査の結果,根治手術は不能であるが,開口障害あり,可能な限り局所病巣を切除する方針で手術を施行した.
顎関節嚢と下顎骨々膜の一部,および顔面神経を腫瘍とともに合併切除した後,人工硬膜を用いながら一期的に創閉鎖を試みたところ,創治癒も良好であった.また,顔面神経切除による障害は,術後の日常生活にそれほど支障はみられず,開口障害も改善した.
遠隔転移を有する再発性悪性耳下腺腫瘍の予後は,腫瘍の組織学的特性に左右されるが,約20%の5生率が期待される報告があり,積極的に,例え根治性は期待できなくとも,外科的治療を加えることは,意義あることと思われる.
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