抄録
小腸原発悪性腫瘍のうちで小腸平滑筋肉腫は,悪性リンパ腫,癌腫に次いで第3位である.本症は通過障害を来たすことが少ないため,しばしば巨大な腫瘤で発見される.われわれは,左上腹部腫瘤を主訴として来院した患者を手術した結果, Treitz靱帯より約10cmの部分の空腸壁から管外性に発育した,大きさ17×16×11cm,重さ1,850g,内部に約1,000ccの粥状壊死物質を含んだ小腸平滑筋肉腫を経験したので報告する.
小腸平滑筋肉腫の好発部位は上部空腸で,空腸曲より60cm以内のものが大多数を占める.大きさは, 15cm大までが約73%を占め,自験例の如く15cm以上のものは25例報告されている.術前に平滑筋肉腫を診断することは困難で平滑筋腫との鑑別に難渋する.
治療法は外科的切除が有効であるが,術後早期と5年以上経過してから再発する症例とがあり術後長期の観察が必要である.