日本臨床外科医学会雑誌
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虚血性心疾患に対する大動脈冠動脈バイパス術の手術死亡に関与する因子について
藤原 巍勝村 達喜土光 荘六稲田 洋木曽 昭光野上 厚志正木 久男中井 正信山根 尚慶山本 尚金沢 成雄
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1986 年 47 巻 1 号 p. 40-45

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抄録

昭和50年から昭和60年7月までの10年間に,当科で施行した虚血性心疾患の手術例は181例で手術死亡は12例6.6%, 169例にACバイパスを単独あるいは合併して行った.手術死亡はすべてACバイパス術単独施行例にみられ,心臓死は8例,心臓外の死亡は4例であった. ACバイパス症例を生存群,死亡群に分け,手術死亡に関与する因子について検討した.死亡群の年齢は生存群より高く(p<0.05),安定型狭心症の5.3%に対し不安定狭心症では21%と高い死亡率を示した(p<0.01).心筋梗塞の既往,糖尿病の合併は両群に差がなく.術前の左室機能およびバイパス本数も手術の危険因子とはならなかった.1および2枝病変例の1.1%に対して,左冠動脈主幹部および3枝病変例では13.8%が死亡し(p<0.01),完全再建の1.4%,不完全再建の34% (p<0.01)と重症冠動脈病変を有し,不完全再建例の手術死亡率が極めて高い事を示した.

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