日本臨床外科医学会雑誌
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破裂性腹部大動脈瘤の治療
安斉 徹男川辺 昌道飯島 哲夫加藤 盛人
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1986 年 47 巻 1 号 p. 52-56

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抄録

腹部大動脈瘤26例中, 8例が破裂性であった.年齢は37~78歳で,全て男性であった. 6例に根治手術が行われ,全例救命し得たが,非手術の2例は死亡した.根治手術施行6例中2例は,定型的な後腹膜腔への破裂であったが,他の4例は特異な形態を示していた.すなわち, 1) 大動脈-下大静脈瘻, 2) 閉塞性血栓血管炎にて両下肢切断後29年目の破裂で,腎動脈直下における大動脈離断例, 3) 大動脈後壁のパンチアウト孔で通じたのう状瘤破裂, 4) 腎動脈以下にエントリーを有する解離瘤である.非手術の例とは, 1) 腹腔と後腹膜腔破裂の当日死亡, 2) 総腸骨動脈で後腹膜腔に破裂したIII型で,試験開腹に終り2ヵ月後に死亡した.
破裂性腹部大動脈瘤は手術侵襲も大きく,ことにショック例では死亡率も高いが,耐術例の予後は非破裂のそれと同様良好であるので,積極的手術を行う必要がある.

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