日本臨床外科医学会雑誌
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腹部大動脈瘤を合併したLeriche症候群の1例
今脇 節朗岡野 和雄栗原 英樹松前 大今吉 英介清水 康廣内田 發三寺本 滋
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1986 年 47 巻 1 号 p. 63-67

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抄録

腹部大動脈瘤の閉塞症例は慢性閉塞,急性閉塞のいずれも稀である.慢性閉塞症例の臨床症状は次第に増悪する間歇性跛行,陰萎など典型的なLeriche症候群の症状を呈し,術前に血管造影で正確な診断を得ることは困難である.最近,当科において腹部大動脈瘤の内腔が慢性に閉塞し,その閉塞部位は腎動脈直下に及ぶ所謂高位腹部大動脈閉塞症で,典型的なLeriche症候群の症状を呈した症例を経験したので報告する.この患者は61歳の男性で,間歇性跛行,下肢の萎縮,陰萎を主訴として入院した.術中に腹部大動脈瘤の存在に気付き処理した後Y型人工血管を移植した.本例の概要を述べ若干の文献的考察を試みた.

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