日本臨床外科医学会雑誌
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腹壁に発生した悪性線維性組織球腫の1例
薦田 烈篠崎 洋二柳 英清横山 伸二曽我 浩之小松原 正吉寺本 滋永谷 伊佐男穐山 隆男平木 祥夫松本 諄
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1986 年 47 巻 1 号 p. 97-104

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抄録

悪性線維性組織球腫(MFH)は,四肢への発生例が多いとされ, wide local excisionに加えてさまざまな方式による放射線療法・化学療法が試みられている.しかし,腹壁に発生したMFHに関しては,発生頻度は少ないものではあるが,四肢原発例に対して行われるwide local excisionは適用し難く,また,有効な放射線療法・化学療法がのぞめないところから,予後は不良と言わざるを得ない.このたび腹壁再発を来たしたMFH症例に対して,単純摘出術に加えて, Adriamycin, cyclophosphamide, vindesineによるadjuvant chemotherapyを行ったが,再発し, disease free intervalは8カ月であった.
術前に, 201T1シンチグラフィを用いてMFHの描画を試みたが, 67Gaシンチグラフィ同様腫瘤は陽性に描画され,そのヒストグラムにおいても,排出遅延が認められた.しかし, 201T1シンチグラフィは, 67Gaシンチグラフィと同様,躯幹のスキャンでは,腫瘍以外にも陽性像を呈することがあり.本例ではヒストグラムによる良性・悪性の鑑別は困難であった.しかし, 201T1シンチグラフィは被曝線量・所要時間に関して67Gaシンチグラフィより優れており,今後follow upを目的とした使用が検討されてよいものと考える.

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