日本臨床外科医学会雑誌
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Print ISSN : 0386-9776
結腸癌と乳癌の外科手術における輸血と予後
八木田 旭邦竹内 教能伊藤 久北島 政樹立川 勲
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1987 年 48 巻 2 号 p. 185-191

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抄録

腎移植時の輸血が,免疫寛容を誘導し移植腎の生着率の向上に寄与している事が知られている,この事実は,悪性腫瘍の外科的切除の際の輸血が,免疫寛容を惹起し逆に腫瘍の再発並びに増殖を促進している可能性も示唆している. stage II以上の結腸癌根治手術51例(輸血例36例,非輸血例15例)並びに乳癌根治手術51例(輸血例24例,非輸血例27例)の輸血の有無による予後をKaplan-Meier法で比較した.結腸癌根治手術の輸血例の生存率は,非輸血例に比較して明らかに低下している(p<0.0001).乳癌根治手術の輸血例の再発率は,非輸血例と比較し有意に高かった.また,結腸癌非根治手術例でも輸血例の予後は,非輸血例に比べ明らかに低下していた.輸血量と予後との因果関係を検討したが,輸血量との相関は得られなかった.この事実から手術前後の輸血が結腸癌並びに乳癌の予後不良因子として作用しており,輸血量との相関がない事から輸血の有無そのものが重要と考えられた.

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