日本臨床外科医学会雑誌
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不全型Marfan症候群に合併したS字状結腸壁内血腫の1例
岩瀬 和裕岸本 康朗藤田 修弘高橋 俊樹前田 克昭金 昌雄Kunio MATSUOKA北川 晃
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1987 年 48 巻 2 号 p. 248-253

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抄録
小児の外傷性十二指腸壁内血腫は数多く報告されているが,大腸の非外傷性壁内血腫は極めて稀である.今回我々は,不全型(forme fruste) Marfan症候群に合併したS字状結腸壁内血腫の1例を経験したので,若干の文献的考察を加えて報告する.
本症例は,眼症状,遺伝歴は欠くものの,骨格系異常を有し,術後にムコイド変性を伴う中膜嚢状壊死による解離性大動脈瘤破裂を合併した事より,不全型Marfan症候群であったと考えられる. Marfan症候群の心血管系病変は,結合織を構成する蛋白あるいはその制御系の異常が一因と考えられており,本症例におけるS字状結腸壁内血腫の形成にも, Marfan症候群という変性疾患の存在が何らかの形で関与していた可能性が考えられる.
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