日本臨床外科医学会雑誌
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術後急性胆嚢炎に対する経皮経肝胆嚢ドレナージ法(PTGBD)の有用性
熊沢 健一菊池 友允中島 久元大東 誠司松本 紀夫昆野 博臣矢川 裕一芳賀 駿介小川 健治梶原 哲郎
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1988 年 49 巻 1 号 p. 101-105

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抄録
近年,広範なリンパ節郭清や長期にわたる高カロリー輸液が行われるようになり,術後急性胆嚢炎の発生頻度が増加してきている.本症は症状の進行が早く重篤化しやすいため早期に適切な治療が必要とされる.以前は重症例に対して開腹手術がなされていたが,超音波診断装置の発達により経皮経肝胆嚢ドレナージ法(以下PTGBD)を行う施設が増えてきている.当科では過去6年間に術後急性胆嚢炎症例を6例経験した.原疾患は胃癌2例,食道癌2例,肛門癌1例,脳出血1例であったが,保存的治療で軽快したのは1例のみで2例に開腹手術, 3例にPTGBDが施行された. PTGBD施行例は全例合併症なく症状は直ちに軽快した.また,胆嚢萎縮を認めた1例には胆嚢摘出術が追加されたが,発症後早期に施行された1例は胆嚢管が再開通し,胆嚢機能を回復して完治した. PTGBDは全身状態の悪い症例にも安全に行える方法であり,術後急性胆嚢炎に対して極めて有用な治療法であると考えられる.
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