日本臨床外科医学会雑誌
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65歳以上高齢者弁膜症の術後遠隔期心臓カテーテル検査及び薬物負荷による左心予備能力の検討
倉岡 節夫折田 博之島貫 隆夫深沢 学小林 稔鷲尾 正彦
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1988 年 49 巻 12 号 p. 2257-2262

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抄録

65歳以上で手術を施行した高齢者弁膜症の術後遠隔期左心機能を,安静時, dopamine (DOP)平均6γ負荷時の心臓カテーテル検査とシネアンギオグラフィーから検討した.対象は大別すればMS 5例, MR/AR 7例の計12例で,平均年齢70.0歳であり,術後平均観察期間は38.9カ月であった.全例に安静時manometryと左室造影を行い,その後rate-pressure product 150% (p<0.01)を目標にDOP負荷を加え,再度manometryと左室造影を施行し,術前の値と比較した.高齢者弁膜症術後はNYHA分類の改善とは異なり, EF, mean VCF, forward SWI, total SWI等左心ポンプ機能は改善しないが, MR/ARに限り左心容積(EDVI, ESVI, total SVI)は縮小し, ESP/ESVI, ESWS/ESVI, TVEFで見た収縮機能は回復した. DOP負荷により,心拍数の増加よりも駆出時間が短縮したために, total stroke flowは不変であるが, regurgitant flowが減少することによるforward stroke flowの増加が認められた.

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