日本臨床外科医学会雑誌
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肝硬変合併食道静脈瘤出血に対する内視鏡的硬化療法の治療成績
follow-upからみた病型別成績
内山 勝弘高田 忠敬安田 秀喜長谷川 浩土屋 繁之三須 雄二斉藤 康子四方 淳一
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1988 年 49 巻 12 号 p. 2263-2268

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抄録

食道静脈瘤出血には,これまで保存的治療と,緊急手術が主に行われてきた.最近では侵襲の少ない内視鏡的硬化療法が広く行われているが,その長期的止血効果については疑問視する報告もある.本研究では,硬化剤静脈内注入法による内視鏡的硬化療法の成績を評価するために,自験67例の肝硬変合併食道静脈瘤出血に対する成績を, Child分類による病型別に止血効果,再出血の頻度,予後の面から保存的治療,緊急手術と対比しretrospectiveに検討した.肝機能が比較的良好なChild A群およびChild B群症例(40例)では,保存的治療,緊急手術,内視鏡的硬化療法で止血率,再出血の頻度,予後には差がなかった.肝機能の悪いChild C群(27例)では,内視鏡的硬化療法(10例)が止血率や予後の面で保存的治療(8例)や緊急手術(9例)より良好であった.しかし, Child C群では再出血の頻度が内視鏡的硬化療法でも60%と高く,初回止血後も注意深い観察が必要である.

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