日本臨床外科医学会雑誌
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外傷性小腸穿孔症例の臨床的検討
杉本 勝彦前川 和彦今井 恒島津 盛一
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1988 年 49 巻 12 号 p. 2282-2289

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抄録

北里大学病院救命救急センター及び外科で経験した,外傷性小腸穿孔74症例について臨床的に検討を行った.受傷機転は,半数以上が交通外傷であり,大部分が多発外傷であった.本損傷の診断は,特に,意識障害症例や,多発外傷症例で困難であった.補助診断法の中で腹部単純X線写真,腹部エコー, CTはその診断能力に限界があった.診断的腹腔洗浄法は,特にその腹部症状が明らかでない多発外傷症例で有用な検査法であった.死亡率は1.4%であったが,術後合併症の頻度は40%代と高率であった.問題となった術後の感染性合併症発症の最も重要な要因としては,受傷から手術開始までの治療時間の遷延であった.

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