日本臨床外科医学会雑誌
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異時性大腸多発癌の臨床病理学的検討
東郷 杏一奥野 匡宥池原 照幸西森 武雄大平 雅一加藤 保之長山 正義由井 三郎梅山 馨
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1988 年 49 巻 12 号 p. 2290-2295

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抄録

1972年より1986年までの15年間に経験した異時性大腸多発癌症例は9例で,第一癌手術時年齢は38歳から81歳,平均60.0歳であり,男性2例,女性7例であった.発現間隔は1年2カ月から14年,平均7年1カ月であった.大腸癌家族歴を有していた症例は3例であり,腺腫合併例は5例であった.同時性大腸多発癌を有していた症例は,第一癌手術時1例,第二癌手術時3例であり,第二癌手術時には同時性多発癌の存在に留意し,精査が必要であると考えられた.占居部位は盲腸から直腸に及ぶまで広く分布しており,第二癌が第一癌より口側に存在していた症例は6例であり,肛門側に存在していた症例は3例であった.第一癌手術時は絶対治癒切除8例であり,相対治癒切除1例であったが,第二癌手術時は絶対治癒切除4例,相対治癒切除4例,絶対非治癒切除1例であった. follow-up期間の短い症例もあるが, 9例中7例は生存中である.

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