日本臨床外科医学会雑誌
Online ISSN : 2189-2075
Print ISSN : 0386-9776
ISSN-L : 0386-9776
大腸癌肝転移切除例の検討
久保 琢自出川 寿一広瀬 敏樹坂本 昌義大谷 五良
著者情報
ジャーナル フリー

1988 年 49 巻 12 号 p. 2296-2303

詳細
抄録

1974年より1987年の間に当科で切除した血行性肝転移例は48例であった.うち39例は結腸,直腸癌肝転移例であった.全症例の5年累積生存率は23.6%で,うち結腸,直腸癌肝転移例において原発巣,肝転移巣とも治癒切除がなされた場合の5年累積生存率は24.5%であった.肝転移の数(単発,多発),大きさ,原発巣切除から転移巣切除までの間隔(同時性,異時性切除),手術術式による生存率の差はみとめられなかった.剖検による肝切除後の再発形式をみると,残存肝のみに限局した再々発形式は極めて少数(9.5%)であり,肝切除術のみでは不完全であり精力的な集学的補助療法の併用が必要であることが示唆された.

著者関連情報
© 日本臨床外科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top