日本臨床外科医学会雑誌
Online ISSN : 2189-2075
Print ISSN : 0386-9776
ISSN-L : 0386-9776
稀な組合せによる乳癌と他臓器重複癌の3例
小坂 昭夫安藤 浩住吉 健一安藤 二郎丸尾 啓敏壺内 泰二郎首藤 昭彦
著者情報
ジャーナル フリー

1988 年 49 巻 12 号 p. 2309-2315

詳細
抄録

乳癌と他臓器癌合併の頻度は文献的には2.2%~5.0%と言われている.昭和53年1月より62年12月迄当科での原発乳癌は312例で術後第2癌の発生をみた症例は10例(3.2%)でありその内他臓器重複癌は6例であった. 6例中3例は舌癌,胆嚢癌,急性前骨髄球性白血病という稀な組合せの重複癌であった.症例1 (舌癌) 52歳女性, T2bN1bM0, stage II,定型的乳癌根治術を施行, scirrhous ca.,腋窩リンパ節転移はn1β, 8カ月後舌右縁に腫瘤を触知した.症例2 (胆嚢癌) 70歳女性, T2aN0M0, stage II,非定型的乳癌根治術を施行, solid tubular ca., n0, 1カ月後右季肋部痛,不快感を訴えた.症例3 (急性前骨髄球性白血病) 48歳女性, T3aN1bM0, stage IIIa,定型的乳癌根治術を施行, solid tubular ca., n1βであった. 1年9カ月後,上下肢紫斑,性器出血で来院. 3例とも術後化学および内分泌療法を行い,放射線療法を行っていない.予後は,症例1, 3は生存, 2は死亡している.

著者関連情報
© 日本臨床外科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top