1988 年 49 巻 12 号 p. 2330-2335
症例は9歳男児, Pillsbury B型大動脈弓離断症の患者である.満期正常分娩にて出生したが,体重増加不良を認めた.運動時の失神発作を主訴とした.両側の大腿動脈は触知されず,両側の総頚動脈に血管雑音を聴取した.心血管造影では,左総頚動脈の末梢側で離断した. pulmonary ductus descending aorta trunkを伴わない大動脈弓離断症であった.
Pillsbury B型大動脈弓離断症の診断のもとに手術を施行した.離断部は索状物で置換されていた.索状物を切離後,左総頚動脈と下行大動脈との側端吻合を行った.術後,上行大動脈と下行大動脈との圧較差は消失し,失神発作も認められなくなった.