日本臨床外科医学会雑誌
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腸重積を呈した原発性回腸癌の1例
吉井 克己野上 厚野方 尚原田 昌弘尾原 徹司
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キーワード: 原発性回腸癌, 腸重積
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1988 年 49 巻 12 号 p. 2346-2350

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抄録

原発性回腸癌は稀な疾患であるが,腸重積を呈した原発性回腸癌を経験したので,最近10年間に報告された,自験例を含む本邦報告例18例を検討し,文献的考察を加え報告する.
症例は73歳女性で腹部膨満感を主訴として来院,超音波にて右下腹部に腫瘤と腸管の二重構造を認め,注腸造影にて回盲部腫瘍を疑われたが,小腸造影で回盲部腸重積と診断された.手術所見は回盲弁より8cm口側に4.5×3.5cm大のBorr 1型様腫瘍があり,これを先進部として上行結腸内に腸重積を起こしていた.組織学的には,高分化腺癌でリンパ節転移は認めなかった.
回腸癌は50~70代の男性に多く,稀で,特異な症状に欠けるため診断も困難である.今回の調査では腸閉塞症として診断される例が多くみられた.好発部位は回盲弁より30cmまでに18例中15例認め,大きさは長径4cm以上の腫瘤型が多く認められた.回腸癌のほとんどが高分化腺癌であった.

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