日本臨床外科医学会雑誌
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盲腸絨毛腺腫の1例
安藤 久實平岩 克正梅田 隆司瀬尾 孝彦岸田 喜彦飯尾 賢治Yukio ISHIGURO伊藤 喬廣
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1988 年 49 巻 12 号 p. 2351-2356

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抄録

大腸の絨毛腺腫は,絨毛状の肉眼形態を呈する比較的稀な腫瘍であり,直腸とS字状結腸に多く見られる.われわれは稀な発生部位とされる盲腸の絨毛腺腫を経験し,また興味ある超音波像を得ることができたので報告する.
症例は78歳男性で,腹痛を伴わない粘液を混じた下痢を主訴とした.腹部超音波所見は,盲腸から上行結腸にかけて肝とほぼ同一のエコーレベルを示す著明な全周性の壁肥厚像と,腸管内腔の液体貯留像を特徴とし,水腎症の超音波像に類似していた.また,探触子で肥厚した腸管を圧迫すると容易に変形した.切除された腸管内には多量の粘液が存在し,盲腸から上行結腸にかけてビロード状で平皿状に隆起した腫瘍が認められた.組織学的には絨毛腺腫の像を示し,一部に粘膜内に限局する高分化型腺癌が認められた.

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