日本臨床外科医学会雑誌
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成人腸無回転症に伴った盲腸癌の1例
島貫 公義千葉 惇板橋 邦宏冨樫 一智浅野 宏浜田 修三
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キーワード: 成人腸無回転症, 大腸癌
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1988 年 49 巻 12 号 p. 2357-2362

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抄録

症例は73歳男性で,左側腹部腫瘤を主訴として,上部消化管造影,大腸造影, CT,血管造影にて,術前に腸無回転症に伴った盲腸癌と診断し右半結腸切除を施行した.成人腸無回転症に伴った盲腸癌症例は稀であり, 1956年以降の成人(16歳以上)腸無回転症の検索し得た本邦報告例は51例で,その4例に大腸癌の併存を認めるのみであった.成人腸無回転症の51例を検討するに,平均年齢は39.4歳,男女比は2.3:1で男性に多い傾向を示した. 7例に消化性潰瘍病変が併存していた.開腹時に診断されたものは21例,術前,非手術例での診断は25例,術後X-P検査にて診断されたものが4例であった.腸無回転症は他疾患の検査および手術時に偶然診断されることが多く,併存病変の診断治療を修飾することがあり,成人においても腸回転異常症を考慮する必要があると思われた.

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