日本臨床外科医学会雑誌
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腸管動静脈奇形の3例と本邦報告58例の検討
松田 真佐男伊藤 正光石榑 秀勝近松 英二加納 英行加藤 信夫
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1988 年 49 巻 12 号 p. 2363-2370

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抄録

腸管動静脈奇形は慢性消化管出血の原因として臨床上重要な疾患であるが,その病態についてはなお不明な点も多い.本稿では自験例3例を報告するとともに,本邦報告例58例を集計し,本症につき検討を加えた.
年齢は1歳2カ月の1例を除き,すべて成人例で,平均56.7歳(1~82歳)であった.男性45%,女性55%で明らかな性差はない.本症の臨床像はくり返す消化管出血であるが,血管造影検査以外では確診がつかないため,診断がおくれる例が多い.発生部位は胃以下の全消化管および肝,膵にもみられるが,小腸(43%),結腸(34%)に頻発し, 60歳未満では小腸, 60歳以上では右側結腸に多い.治療は切除術が主体であるが,最近はレーザー・電気焼灼,硬化・塞栓療法も報告されている.予後は一般に良好であるが,広範囲多発例で出血のコントロールが不可能な例では予後不良となる.

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