日本臨床外科医学会雑誌
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肉芽性肝膿瘍の1例-本邦報告例の検討-
岩佐 真世古口 務和田 潔人宮原 成樹勝峰 康夫北村 紘彦稲守 重治野田 雅俊坂井 徳七石橋 支良
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1988 年 49 巻 12 号 p. 2382-2387

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抄録

肉芽性肝膿瘍は臨床的には発熱や疼痛などの炎症所見の色彩が有りながら,肝臓には充実性の腫瘤を認め,画像診断上はSOLとして描出され,これを切開しても膿汁の排出はなく,細菌性肝膿瘍の治癒過程の中で肉芽性変化が強くおこったものとされている稀な疾患である.最近われわれは魚骨穿通が原因と考えられる,肉芽性肝膿瘍の1例を経験したので本例を報告するとともに,併せて本邦報告例13例について臨床的検討を加えた.
症例は60歳男性で腹部膨満感,腹痛,発熱を訴え入院.白血球増多, CRP陽性及び血沈の亢進を呈し,腹部US, CTにて肝に不整なSOLが認められ肉芽性肝膿瘍が疑われたが,肝腫瘍も否定しきれず開腹.腫瘤の剥離中に長さ約3cmの魚骨が採取された.外側区域切除を施行.摘出された肝腫瘤は5×4cm大,割面黄褐色で明らかな膿瘍はなく組織学的に肉芽腫と診断された.

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