日本臨床外科医学会雑誌
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乳癌手術14年後に切除し得た胆道系重複癌の1例
勝木 茂美佐伯 俊雄加藤 博田沢 賢次藤巻 雅夫阿部 要一山田 雅之加藤 清
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1988 年 49 巻 12 号 p. 2388-2393

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抄録

左乳癌の拡大乳房根治術施行後14年目に胆嚢及び下部総胆管に見られた胆道系重複癌を経験したので報告する.症例は黄疸と心窩部痛を主訴として来院,閉塞性黄疸の診断にて外科入院となり,精査にて下部胆管癌及び胆嚢癌を疑い手術となった79歳の女性である.組織学的に胆嚢に管状腺癌を,下部胆管に低分化腺癌を認め,両者の間に連続性はなく,リンパ節転移陰性で胆道系重複癌と診断した.また,乳癌はAC領域の腫瘤でリンパ節転移陰性の硬癌であった.従って,異時性であるが乳癌・胆嚢癌・胆管癌の3重複癌である.胆道系重複癌の報告は比較的まれであるが,他臓器癌との合併症例は胃癌との合併例が1例報告されているのみである.本症例のような乳癌との3重複癌は極めてまれであると思われたのでこれを報告し,加えて乳癌術後の他臓器癌について若干の文献的考察を行った.

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