日本臨床外科医学会雑誌
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遅発性脾破裂の1例
成田 洋鶴賀 信篤小野 雅之桜井 敏神谷 保廣由良 二郎
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1988 年 49 巻 12 号 p. 2412-2416

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抄録

交通外傷受傷後13日目に発症した遅発性脾破裂の1例を経験したので報告するとともに,本邦報告31例を集計し文献的考察を加えた.症例は18歳,男性で,オートバイ運転中転倒し全身を強打した.入院時左第11, 12肋骨骨折等を認めたが,腹部に異常所見はなかった.しかし受傷13日目に突然ショック状態に陥り,急性腹症症状を呈するにいたった.腹部CTで脾内,および脾臓周囲のlow density areaの存在と,腹腔内の液体貯溜像を認めたため遅発性脾破裂を疑い開腹術を施行した.術中,脾下極,脾門部側での脾被膜の断裂と,同部からの出血を認めた.修復術による脾温存は困難と判断し,脾摘除術を行ったが術後経過は良好であった.

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