日本臨床外科医学会雑誌
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腹腔内臓器癌における腫瘍マーカーCA19-9の免疫組織学的研究
腫瘍別及び血清値との対比
安藤 静一郎板倉 正幸野原 隆彦小野 恵司瀬下 達之中瀬 明
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1989 年 50 巻 4 号 p. 670-675

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抄録

抗CA19-9モノクローナル抗体を用いて,腫瘍組織の免疫組織学的検索を行った.症例は膵癌4例,胆道癌6例,胃癌4例,乳頭部癌3例,十二指腸癌1例,結腸癌1例及び卵巣奇形腫1例の計20例で,切除組織及び生検組織のホルマリン固定後のパラフィン切片を作成し,酵素抗体法(peroxidase-antiperoxidase method, PAP法)にて染色した.ほとんどの症例(18例)に染色がみられ,臓器特異性はなかった.染色態度は,細胞膜型,細胞質型(微漫型,顆粒型)間質漏出型,腺腔内分泌型等様々であったが,間質漏出型に血清CA19-9高値例が多かった.非癌組織では膵管上皮,変性膵腺房細胞,胆管上皮,腸上皮化生部,卵巣の顆粒膜細胞に染色がみられた.抗CA19-9モノクローナル抗体を用いた免疫組織学的検索は,診断及び治療への応用に有用であると思われた.

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