日本臨床外科医学会雑誌
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閉塞性黄疸を呈した稀な十二指腸石の1例
山本 英夫七野 滋彦佐藤 太一郎片山 信河村 健雄鈴木 秀昭水野 伸一二村 雄次
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1989 年 50 巻 5 号 p. 959-966

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抄録

最近われわれは閉塞性黄疸にて発症した十二指腸の胆汁酸腸石の1例を経験した.症例は80歳の女性で,主訴は黄疸・発熱.既往歴は71歳で胃潰瘍にて胃切除(Billroth II法で再建).PTCD施行時総胆管末端はU字型に閉塞していたが,その後閉塞は消失した.胃X線造影検査では十二指腸下行部に直径約5cmの表面平滑な腫瘤と水平脚に狭窄を認め,USでは腫瘤は層状構造をとりacoustic shadowを伴っていた.術中胃内視鏡検査を施行したところ,腫瘤は球状黄色の結石であった.十二指腸を切開し結石を摘出した.傍乳頭憩室を認めた.腸石は55×46×30mm, 43g,黄色で割面は層状であった.成分分析ではデオキシコール酸を主に含む胆汁酸腸石であった.本邦・欧米合わせての報告例はカルシウム塩腸石112例,胆汁酸腸石48例であった.腸石形成の成因は憩室の存在と大動脈蛇行のために生じた上腸間膜動脈性十二指腸狭窄症の双方が関与していたと思われる.

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