日本臨床外科医学会雑誌
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乳腺原発のmalignant hemangiopericytomaの1例
A CASE OF MALIGNANT HEMANGIOPERICYTOMA OF THE BREAST
舟橋 啓臣今井 常夫松尾 尚史坪根 幹夫
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1989 年 50 巻 8 号 p. 1544-1547

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抄録

乳腺原発のHemangiopericytomaは稀な疾患とされ,中でも悪性症例は極めて稀である.今回の患者は48歳女性,術前の検査では進行乳癌と思われる所見で,乳癌取り扱い規約ではT4bN1bMO Stage IIIbの診断で定型的乳房切断術を施行した.摘出標本では腫瘍は乳腺に発生し,黄灰白色で出血壊死を伴い,大胸筋への浸潤はなかった.組織学的には,結合線維に乏しく,腫瘍細胞が多数の血管の間を充填するように存在し,mitosisも高度でmalignat hemangiopericytomaと診断された.Keratinおよびepitherial membrane antigenではいずれもnegativeであり,さらにfactor 8は腫瘍細胞に染まらず一部の血管の内皮に染まり,immunohistochemicalにも診断が確認された.さらに,戻し電顕でも特徴ある形態を示した.本邦における乳腺原発のhemangiopericytomaの症例は数例の報告しかなく,悪性症例はさらに稀である.

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