日本臨床外科医学会雑誌
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乳頭異常分泌症例における乳管造影所見
松永 忠東萩原 勁伴野 隆久千田 俊哉米山 一男野口 正之藤井 雅彦石井 保吉木村 幸三郎
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1990 年 51 巻 11 号 p. 2365-2370

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抄録

乳頭異常分泌症に対する乳管造影検査の有用性を検討し,特に乳癌と乳管内乳頭腫の発見と両者の鑑別を目的として,病理学的検索がなされた58例の乳頭異常分泌症例の乳管造影所見をretrospectiveに検討した.その結果,乳管造影所見を,I)乳管内陰影欠損型,II)嚢胞内陰影欠損型,III)乳管断裂型,IV)断裂・再造影型,V)断裂・再造影・漏出型の5型に分類し得た.臨床において最も鑑別を要するのは乳癌と乳管内乳頭腫の鑑別であり,この両者の鑑別に主眼を置いて検討すると,I型及びII型は乳管内乳頭腫に多く認められるが,両者の鑑別は困難であった.III型は両者でみられ,微細石灰化像や腫瘤陰影が鑑別に有用な所見であった.IV型は乳癌と乳管内乳頭腫の両老で認められたが,V型は乳癌に特異的であった.造影剤の漏出像は従来,注入圧等手技的な問題があり余り注目されていないが,乳管の断裂・再造影・漏出像は乳癌を強く示唆する所見である事が判明した.

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