日本臨床外科医学会雑誌
Online ISSN : 2189-2075
Print ISSN : 0386-9776
ISSN-L : 0386-9776
T0乳癌7例の経験
林 隆志安村 忠樹岡 隆宏
著者情報
ジャーナル フリー

1990 年 51 巻 3 号 p. 478-481

詳細
抄録

T0乳癌7症例について,発見の契機,確定診断までの経過,病理組織学的所見を検討した.7例中4例の主訴は血性乳頭異常分泌であり,2例は乳腺痛であった.また1例は乳癌検診のために来院した.血性分泌を認めた4例中2例は,乳管造影及び乳管区分切除により癌の診断が得られ,1例は乳管造影中,乳頭から小腫瘍組織塊が排出され,この組織の病理組織検査によって診断された.残る1例は病理塗抹検査で癌細胞陽性であり,乳腺撮影で微細石灰化像を認めたため,生検は行っていない.他の3例はいずれも,乳腺撮影で微細石灰化像を認めたため,生検を行い癌と診断した.病理組織学的には血性分泌で発見された4例中3例は浸潤癌であったが,微細石灰化像だけで発見された3例は,全例非浸潤癌であった.このように,微細石灰化像のみで発見された症例は,血性分泌で発見されたものより,早期であると考えられた.

著者関連情報
© 日本臨床外科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top