1990 年 51 巻 3 号 p. 482-486
症例は56歳,女性で約9年前に乳癌のため左定型的乳房切断術,術後放射線療法を受けていた.1986年5月,リンパ浮腫のある左上腕に腫瘤出現し,次第に潰瘍化した.腫瘤は切除され,組織学的診断はangiosarcomaであった.術前からAFP高値があり,術後も持続した.5ヵ月後下腹部腫瘤出現し,切除され,卵巣embryonal carcinomaと診断された.Postmastectomy lymphangiosarcomaの報告は欧米では比較的多いが,本邦では稀である.Stewart-Treves症候群は第3の悪性腫瘍として卵巣embryonal carcinomaなどを合併するので,乳癌術後リンパ浮腫をきたした患者には厳重なfollow upが必要である.