日本臨床外科医学会雑誌
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早期胃癌の胃切除術により判明した肺癌の腹腔内リンパ節転移の1例
明平 圭司中根 恭司吉永 康照岡村 成雄笠松 聡朴 常秀大草 世雄広実 伸郎稲田 吉昭日置 紘士郎山本 政勝Tsutomu OOSAKO
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1990 年 51 巻 3 号 p. 498-502

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抄録

早期胃癌の胃切除術により判明した肺癌の腹腔内リンパ節転移の1例を経験したので文献的考察を加えて報告する.症例は62歳の男性で1.5年前に左肺癌(S8)にて左下肺葉切除術の既往があり,心窩部痛を主訴として来院.胃透視・胃内視鏡生検で胃癌と診断された.手術所見はA領域小弯側に3.0cm×2.4cmのIIc病変を認め,組織学的には一部にSignet-ring cellの混在を認めるpoorly differentiated adenocarcinomaで,深達度はmであった.郭清リンパ節のほとんどに転移を認め,胃癌組織と異なり,高分化型の腺癌であった.一方肺癌病理組織は,高分化型の腺癌であり,CT・Echo・Gaシン等で血行性転移は認められず,本症例は,肺癌からのリンバ行性による腹腔内リンパ節への転移であると考えられた.

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