1990 年 51 巻 3 号 p. 513-515
頸部食道癌穿孔部からの感染のため,短期間のうちに急激な経過で死亡した症例を報告する.患者は,嚥下障害を主訴とした59歳の男性で,既往歴として未治療の糖尿病があった.
穿孔部の感染は,嫌気性菌によるものであったが,それを意識した病原菌検索および外科処置は行われず,Necrotizing fascitisから敗血症へと進展した.
Necrotizing fascitisは,致命率が高く,早期診断,治療が不可欠である.対策としては,まず第1に本症例のようなcompromised hostの感染に際しては,起炎菌として嫌気性菌を念頭に入れておくこと,ついでNecrotizing fascitisが発症した際には,早期から開放創とし,壊死組織の充分なsurgical debridementが必要である.