日本臨床外科医学会雑誌
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原発性空腸癌の1症例
上山 直人今川 敦史安田 慎治小沢 利博八倉 萬之助堤 雅弘小西 陽一中野 博重
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キーワード: 原発性空腸癌
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1990 年 51 巻 3 号 p. 538-542

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抄録

原発性空腸癌は,稀な疾患である.その術前診断は困難で,イレウスにて手術を施行されることが多い.今回その1治験例を経験したので若干の文献的考察を加えて報告する.患者は51歳の女性で主訴は〓吐.体重減少(20kg/2ヵ月)である.来院時るいそうが顕著であった.上部消化管透視にて空腸腫瘍と診断し緊急手術を施行した.トライツ靱帯より5cmの空腸に潰瘍を伴う壁外発育型の腫瘍(中分化腺癌)を認め全周性の狭窄を呈していた.遠隔転移や播種性転移を認めなかった.所属リンパ節を郭清し,十二指腸,空腸吻合術を施行した.胃,十二指腸,大腸に異常を認めないのに腹部症状が続くならば積極的に小腸(特にトライツ靱帯,バウヒン弁付近)を検索し早期発見,早期手術を施行することが肝要である.

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