日本臨床外科医学会雑誌
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肝血管筋脂肪腫の1治験例
宮崎 卓哉有田 峯夫有田 英二富田 康彦清水 哲南出 純二孟 真竹鼻 敏孝北村 創
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キーワード: 肝血管筋脂肪腫, 細径針
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1990 年 51 巻 5 号 p. 1026-1030

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抄録

腹部USにて肝腫瘤を指摘され,原発性肝癌との鑑別が困難であった肝血管筋脂肪腫の1例を経験したので若干の文献的考察を加え報告する.症例は52歳女性で,腹部腫瘤精査目的にて来院.自覚症状および入院時一般検査所見に異常なし.腹部USおよびCT上,肝右葉後下区域を中心に径約5cm大の占拠性病変を認めた.また,腹部血管造影では同区域にA-V shuntを伴う腫瘍濃染像を認めた.さらに,術前の細径針を用いた針生検では細胞診class V,組織診EdmondsonのGrade II~IIIと診断された.以上より,肝細胞癌の診断のもとに開腹し亜区域切除を施行した.摘出した腫瘍は3×6×7cm大の卵円形で,明かな被膜はないが肝組織との境界は明瞭.割面は多彩で,脂肪組織,出血巣,灰白色組織で占められていた.組織学的には,成熟した脂肪細胞を含む良性腫瘍で肝血管筋脂肪腫の診断であった.

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