日本臨床外科医学会雑誌
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気腫性胆嚢炎の2例および本邦81例の検討
佐尾山 信夫吉田 冲増田 裕津田 洋乾 浩三河田 健介先山 正二深田 義夫大浦 正博
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キーワード: 気腫, 胆嚢炎, 胆嚢内ガス
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1990 年 51 巻 5 号 p. 1031-1037

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抄録

気腫性胆嚢炎の2例を経験したので,本邦報告81例を加え文献的考察を行った.
症例1は93歳,男性で右季肋部痛,嘔吐,発熱にて,症例2は70歳,主婦で繰り返す症例1は93歳,男性で右季肋部痛,嘔吐,発熱にて,症例2は70歳,主婦で繰り返すレナージ術が,症例2は胆嚢摘出術が施行された.2例とも結石はなく,胆汁よりE. coli が症例1にP. aeruginosaが症例2に認められた,症例2は内視鏡的乳頭切開後に,消化管よりガス流入および細菌感染にて発症したもので,胆嚢内にガスが長期に存在していたと考えられた.
本症の発生要因として,無石気腫性胆嚢炎の頻度が高いこと,胆嚢の壊疽,穿孔の頻度が高いこと,糖尿病,高血圧,心筋梗塞等の血管性疾患と胃切後に発症している例が多い点から,胆嚢壁の虚血性変化が重要と考えた.

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