日本臨床外科医学会雑誌
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右大量血性胸水にて発症した膵性胸水の1治験例
川口 廣樹岸本 宏之福井 甫池田 貢
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キーワード: 膵嚢胞, 膵性胸水
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1990 年 51 巻 5 号 p. 1038-1042

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抄録

右胸水を合併する膵疾患は,非常にまれである.今回,右胸腔内に大量の血性胸水貯留に伴う呼吸困難を主訴として受診した膵性胸水の1例を経験したので報告する.
症例は,54歳,男性で,約10年前左胸部外傷および血胸があり,1年後に,慢性膵炎,膵尾部嚢胞,胃蜂窩織炎との診断で他院にて,胃切除術,膵尾部切除,脾摘を受けた既往がある.アミラーゼ分画がP型を示し,腹部症状,腹部所見は殆ど見られなかったが,胸水中のアミラーゼ値が高値を示したことから,膵性胸水を強く疑い,開腹術を行って,膵床ドレナージ,胸腔への内瘻と思われる索状物を結紮切断することによって治癒した症例を経験した.

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