1990 年 51 巻 5 号 p. 1052-1056
当科で経験した膵真性嚢胞11例について検討した.内訳は嚢胞腺癌4例,嚢胞腺腫4例,リンパ管腫1例,貯留嚢胞1例,多発嚢胞症1例である.
嚢胞腺癌を術前に診断することは,画像診断あるいは細胞診をもってしても困難であるが,嚢胞内容の腫瘍マーカー値の測定を加味することにより診断率の向上が期待される.
嚢胞腺癌は予後良好であること,また,嚢胞腺腫から発癌する可能性があることから,腫瘍性嚢胞に対しては,原則として膵切除術を施行すべきであると考えられた.