日本臨床外科医学会雑誌
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腹部大動脈瘤の手術例と非手術例の予後
白方 秀二丹生 智史佐藤 伸一相馬 彰河内 秀幸伊東 正史村山 祐一郎河合 隆寛西山 勝彦神吉 豊和田 行雄大賀 興一岡 隆宏門脇 政治北浦 一弘
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キーワード: 腹部大動脈瘤
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1990 年 51 巻 5 号 p. 875-882

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抄録

過去18年間に教室で扱った腹部大動脈瘤を手術例と非手術例に分け,手術直接死亡と遠隔期死亡原因につき検討した.手術した112例のうち非破裂例は96例,破裂16例で,手術時の平均年齢は非破裂例68歳,破裂例72歳であった.手術死は非破裂例4.2%,破裂例62.5%であった.待機手術の遠隔期死亡は17例で,死亡時期は術後3ヵ月から4年目,平均1年11ヵ月目であった.破裂例の遠隔期死亡は2例あった.High riskと手術拒否のため適応から除外した非手術例は23例,平均年齢は74.1歳であった.遠隔期死亡は15例,このうち7例,47%が破裂死した.初診から破裂までの期間は平均1.76年目であった.累積生存率をみると5年生存率は非破裂例76%,非手術例22%と非手術例の予後は極めて不良であった.したがって,腹部大動脈瘤はhigh riskとなる前に積極的に手術すべきである.

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