日本臨床外科医学会雑誌
Online ISSN : 2189-2075
Print ISSN : 0386-9776
ISSN-L : 0386-9776
胃全摘症例の術後長期quality of lifeの検討
鈴木 力石崎 悦郎田中 陽一武田 信夫田中 申介植木 秀任片柳 憲雄藍沢 喜久雄西巻 正田中 乙雄武藤 輝一
著者情報
ジャーナル フリー

1990 年 51 巻 5 号 p. 883-892

詳細
抄録

胃癌胃全摘術(全摘)施行例の術後長期にわたるquality of lifeを検討するため,アンケート調査(対象78例)および臨床成績の追跡調査(対象28例)を行った.アンケート調査では90%以上の症例が手術を受けたことに満足感をいただいており,ほぼ満足できる結果であったが,一方では術後5年以上の長期経過例も含め,種々の愁訴・不満を訴えた症例が過半数を占めていることも明らかになった.臨床成績の追跡調査結果では訴えた症例が過半数を占めていることも明らかになった.臨床成績の追跡調査結果では貧血の発生が重要な問題と考えられた.全摘例のquality of life向上のためには,種々の胃切除後障害が患者の日常生活に影響を及ぼしていることを念頭におき,患者一人,一人の状態に即した適切な対策を施しつつ,術後も長期にわたり経過観察を行うことが重要と考えられた.

著者関連情報
© 日本臨床外科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top