日本臨床外科医学会雑誌
Online ISSN : 2189-2075
Print ISSN : 0386-9776
ISSN-L : 0386-9776
大網被覆を併用して気管形成を行った1例
浅岡 峰雄石井 正大日比 健志酒井 喜正細野 二郎大浜 寿博木村 次郎井上 総一郎市原 利彦守屋 斗人関 章小田 博
著者情報
ジャーナル フリー

1990 年 51 巻 5 号 p. 951-954

詳細
抄録

気管形成の合併症予防のため大網被覆を行った1例を経験した.患者は60歳,女性.甲状腺癌に対する手術を既に2回うけている.今回,呼吸困難を主訴として来院した.緊急気管切開を行った後,根治手術を行った.輪状軟骨を含めて気管を約4cm管状に切除し,食道の筋層も合併切除した.気管および喉頭を受動した後端々吻合した.また,右胃大網動脈を温存した有茎大網を作製し,胸骨後経路で頸部に引き上げ吻合部を全周被覆した.こうして吻合部と食道,頸動脈とを隔離した.術後の経過は順調で,一過性の反回神経麻痺も約2週間で改善し,気管切開カニューレも抜去でき,元気に社会復帰している.

著者関連情報
© 日本臨床外科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top