日本臨床外科医学会雑誌
Online ISSN : 2189-2075
Print ISSN : 0386-9776
ISSN-L : 0386-9776
全内臓逆位,鏡像型右胸心,下大静脈-奇静脈連結,右心耳位置異常を伴った心房中隔欠損症の1例
西沢 直鈴木 一郎白松 一安小林 純寺嶋 雅史
著者情報
ジャーナル フリー

1990 年 51 巻 5 号 p. 955-959

詳細
抄録

6歳女児,心雑音を主訴として入院した.単純胸部X線写真,心電図と腹部諸検査の結果,全内臓逆位と鏡像型右胸心が判明した.心臓カテーテル検査は大伏在静脈より行った.カテーテルは心臓後方から奇静脈,上大静脈を通過して右心室まで到達したが,肺動脈には入らず,カテーテルを右上腕静脈より,挿入して肺動脈まで到達した.右心房レベルで酸素飽和度の上昇を認め,左→右短絡率約56%の心房中隔欠損であった.以上の結果,全内臓逆位,鏡像型右胸心,下大静脈-奇静脈連結を伴う心房中隔欠損と診断した.根治術は完全体外循環下で行った.手術所見では右心耳の位置異常と下大静脈は肝静脈に連結しているのみであった.下大静脈の脱血カニューレの固定は不安定で,吸引回路で対処し,心房中隔欠損は直接閉鎖した.術後は良好な経過で全治退院した.

著者関連情報
© 日本臨床外科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top