日本臨床外科医学会雑誌
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食道狭窄症状で発見された成人型完全重複大動脈弓の1治験例
宮本 伸二葉玉 哲生高崎 英巳森 義顕岡 敬二重光 修藤島 公典木村 龍範辛島 賢治内田 雄三調 亟治
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1990 年 51 巻 5 号 p. 960-964

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抄録

重複大動脈弓は比較的まれな血管奇形であり,その成人例は本邦では11例しか報告されておらず,そのうち3例に手術が行われているにすぎない.
症例は嚥下困難を主訴とする27歳の男性である.食道造影で右後方よりの圧排所見があり,胸部CTにて両側弓開存型の重複大動脈弓及び左上大静脈遺残と診断した.手術は左後側方開胸にて行い,左動脈弓が右に比してやや細いと判断しこれを切断した.術後,嚥下障害は著明に改善し,合併症もなく良好に経過した.
成人の重複大動脈に対する手術適応は未だ定まっていないが,加齢に伴い動脈硬化が症状を進行させ,手術時の危険性が増すと考えられ,本症例のように症状の比較的強い若年者においては手術適応があると考える.

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