日本臨床外科医学会雑誌
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右萎縮腎と左腎癌を伴った腹部大動脈瘤の一期的手術治験例
小笠 延昭山下 長司郎佐藤 達朗今井 雅尚小澤 修一岡田 昌義中村 和夫守殿 貞夫
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1990 年 51 巻 5 号 p. 965-970

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抄録

73歳の男性で,右萎縮腎・左腎癌を伴う高度の腎機能障害を合併した腹部大動脈瘤の症例を経験した.大動脈瘤は腎動脈分岐部末梢より総腸骨動脈にかけて存在し,最大横径は8cmであった.右腎は高度に萎縮していた.代償性に肥大した左腎の中央部に径3cm大の悪性腫瘍の存在が判明したが,実質内に限局していた.患者のquality of lifeを考慮し,腎摘出術は行わず,Y型人工血管置換術と腎腫瘍核出術を一期的に行い,良好な結果が得られた.術後管理では3,000~6,000ml/dayの大量輸液投与と利尿剤の持続静注を行い,血液透析することなく腎機能を温存することができた.

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