1990 年 51 巻 5 号 p. 989-992
症例は55歳男性.13年前,食道癌の診断のもとに食道亜全摘,胸骨後食道胃管吻合術,術後照射を施行されたが,最終診断は平滑筋腫であった.今回,胸痛と嚥下困難を主訴に受診し,精査にて再建胃管の胃癌の診断を得て,胸骨正中切開,開腹により,胃管切除,右結腸による胸骨後食道再建を行った.
食道癌手術の再建術式として胸骨後再建が主流であるが,胸骨後再建後の挙上胃管に発生した癌は稀であり,現在まで8例の報告があるのみである.その術後成績は不良であり,診断,術式について文献的考察を加え報告した.